Webマーケティングで「競合分析」が重要なワケ


 弊社CINCでは、Webマーケティングのコンサルティングを行う際、競合他社分析を念入りに行なっています。

当然、自社や顧客の分析も行いますが、同じくらい競合の分析も徹底して行います。

では、なぜ競合分析を行う必要があるのでしょうか?また、どの観点で競合分析すればよいのでしょうか?

今回はWebマーケティングにおける競合分析の重要性に関して説明したいと思います。

注意

今回の内容は市場における競合のポジショニング分析ではなく、Webマーケティングのプラットフォーム上でのパフォーマンスにおける競合分析を題材として挙げています。

3C分析で「競合」の分析が手薄

マーケティング分析でよく利用されるフレームワークの一つに3Cがあります。

この自社、顧客、競合の3つのCにおいて、自社と顧客はしっかり分析できているものの、競合分析は割と手薄なケースを見受けます。

私も様々なコンサルティングを手掛けてきましたが、多くのケースで自社の強みと顧客のニーズは調査・分析が出来ているものの、Webマーケティング上での競合の分析はもとより、把握が手薄のケースが散見されてきました。

 Webマーケティングの最終的な目的である「ビジネス成果の最大化」を確実なものにするためにも、私自身は3Cは満遍なく分析し、特に手薄になりがちな競合分析は重点的に調査と分析を行います。

では、なぜ競合分析が必要なのでしょうか?この問について以下にて説明したいとおもいます。

そもそも「競合」とは何を指すのか?

ここで指す競合とは、各プラットフォームや方法論で一定の成果を上げている「先行者」を指します。

Webマーケティングで「集客」を行う為には、潜在層と自社の架け橋となるプラットフォーム上でマーケティング施策を展開するのが最も効率的かつ成果を出しやすい傾向にあります。

現在では、検索エンジンのGoogleから、動画共有サイトのYouTube、SNSの一つであるTwitter、画像やマイクロビデオの共有SNSであるInstagramなど様々なプラットフォームが存在します。

これらプラットフォーム上には、現段階で一定数以上の成果(集客数など)を出している「先行者」が存在し、これら先行者をここでは競合と定義します。

この先行者はテーマ(キーワード)やプラットフォーム毎に変化し、特定のテーマ(領域)でSEOに非常に強いWebサイトがあれば、特定のテーマで多くの登録者数を抱えているYouTubeチャンネルがあったり、と各テーマ領域✕プラットフォームごとに先行者が存在します。

Webマーケティング上の競合 ≠ 事業上の競合

尚、Webマーケティング上の競合は必ずしも事業上の競合とは一致するとは言えません。事業上では長年競合として見てきた企業でも、Webマーケティング上では全然競合に値しないケースも大いにあります。

もしWebマーケティング上での競合が明確では無い場合は、まずは競合の「調査」から始められる事をおすすめします。これから参入しようと計画しているプラットフォームや方法論において先行者(競合)が誰(Webサイト、アカウント)なのか把握し、その上で競合分析に取り掛かるようにしましょう。

競合の今のポジショニングは、過去の試行錯誤の上に築かれたもの

今見ている競合サイトやSNSアカウントには、素晴らしい成果が目に見えて分かると思います。

SEOで強いWebサイトであれば、様々なキーワードで検索してもほぼ上位順位を獲得していたり、SNSのアカウントであれば、多数のフォロワーを獲得し、どんな投稿でも多数のいいねやリツイート、コメントを獲得し、高いエンゲージメントを維持していたり、と高い成果が見えると思います。

しかし、今見ている競合の成果は、過去の試行錯誤の上に築かれた努力の賜物であり、長い年月と多くの費用をかけて獲得したノウハウでもあります。

試行錯誤の中には多くの失敗も含まれますし、企業体力と事業責任者の粘り強さで今のポジショニングを獲得できたケースもあるでしょう。

そして、今みなさんが見ている競合の綺羅びやかな成果は、最終的なゴール地点での姿を見ているだけに過ぎません。

「競合分析」とは、競合が今のポジショニングを築く過程で得たノウハウを横から分析し、学ばさせていただく事になります。

多くの時間と労力、費用を書けて得た運用ノウハウやハックノウハウなどを分析を通して見つけ出し、自社にも取り入れていく事が競合分析の目的の一つとなります。

なぜ競合分析をするべきなのか?

もし先行者である競合の分析をせず、施策やプロジェクトに着手したらどのような結果が待っているでしょうか。

先行者から学ばない場合

先行者が築いてきたノウハウを分析せずに様々な施策に着手した場合、当然、紆余曲折を経て、いろいろな失敗や成功を繰り返しながらゴールへとたどり着きます。

時には、ある施策が成功し一気にプロジェクトが進捗する事もあれば、時には失敗し後戻りする事もあるでしょう。ある種遠回りをしつつ、粘り強く最後までやりきる事でゴールにたどり着きます。

先行者から学ぶ場合

方法や施策別で成果を出している先行者から学び、その上で施策に着手した場合、先行者のノウハウや正攻法が分かっている為、自社に取り組む事でスタートからゴールまで最短でたどり着く事が出来るでしょう。

以上のように、先行者(競合)を分析し、学び、ノウハウや正攻法を取り入れる事で、自社で同じ施策を実践した際に、成果までの時間を短縮でき、成功する可能性(確度)も高める事が出来るわけです。

競合分析で正しい努力が出来る!?

しかし、この話をすると「それって、競合の真似事じゃないの?」という声をいただきます。

私はこの問に対し「競合分析をする一番の目的は、正しい努力をする為」とお伝えしています。

マーケティングの役割のひとつに、自社の強みと顧客のニーズが合致する所で接点を作ったり、商品を企画したりして、自社にしか作れない価値を創造し、ビジネス成果を生み出す事にマーケティングの期待役割があると考えています。

SEOで検索順位を上げるのは接点づくりの一つであり、企業活動の目的であるビジネス成果(収益)とは必ずしも直結しません。もちろん周りに回ってSEOも収益に影響してくる事はありますが、大事なのはマーケティングや営業、開発など全ての業務の目的は「世の中に価値を創造・提供し、その対価として収益を得る」事にあります。

つまり顧客のニーズと自社の強み、そして他社には無い差別化を発揮し、価値を創造する事で収益を得る訳で、この点に有限なリソース(人、もの、金)を集中させる必要があるわけです。まさにピーター・ドラッカーが提唱した「選択と集中」だと言えます。

もし、Webメディアを立ち上げようとしたら

自社の強みや資産を活かしてWebメディアを立ち上げようとした場合、どのようにして競合分析すれば良いでしょうか。

例えば、会計士やファイナンシャルプランナーが在籍する小規模な会計事務所の場合、金融商品やそれに関連する困りごとを解決する事に長けており、FPという金融専門家しか知らない解決案やTipsをコンテンツとして提供できると考える事ができます。

金融に精通しており、なおかつ「小規模な会計事務所」という特性から、個人や中小企業が持っている固有の悩みに精通している強みもあります。

この「金融のプロ」&「個人や中小企業事業者が持つ悩みに精通している」という自社の強みを活かして、金融に関わるニーズに対してコンテンツ(情報)を提供する事ができ、他社には出来ない強みを持ったコンテンツやマーケティングを展開できるでしょう。

顧客ニーズにも精通し、提供できる情報(コンテンツ)にも自信がある場合、あとはコンテンツを届ける方法のみ課題となります。

Keywordmapなどの調査ツールを使ってニーズを示すキーワードを抽出し、検索エンジン上での競合を調査します。

すると、ベンチマークしたいWebサイト候補の中に、短期間で集客数を伸ばしているWebサイトを発見します。

流入数を急激に伸ばしているWebサイトを分析していきます。

分析する内容はいくつか存在しますが、一例としてはページ種別やコンテンツの内容、見せ方、テクニカルSEOなどが挙げられます。

競合サイトを分析する事で分かった「戦術」を参考に、自社で取り組める戦術は施策として実施し、最も注力しなければならない自社の強みに集中します。

今回のケースでは、コンテンツの執筆が最も時間と労力をかけて集中すべき点ですので、コンテンツ作成時には競合分析で分かった事を取り入れていきます。

SEOでの競合分析例

SEOの競合分析には様々な手法とデータの見かたがあります。

例としてディレクトリ別の流入数を算出し、流入数が多いディレクトリを個別で分析し、ディレクトリごとにSEOの戦術や方法を調査する分析フローがあります。

上の図はある大手DB系Webサイトのディレクトリ別流入数を表したグラフです。

このWebサイトはDB型Webサイトのため、基本的なSEO戦術として商品ページなどの末端ページを大量に生成し、品質を半自動で制御し、index化率を維持・向上させ、自然流入数を獲得する手法が基本的な戦術になります。

しかし、赤い矢印で指しているディレクトリはDB型SEO戦術ではないコンテンツ型戦術で流入を獲得しており、サイト全体の第2位の集客数を誇っているディレクトリでした。

外からこのWebサイトを見た際は、DB型SEO戦術で集客を図っている様に見受けられましたが、分析する事で、実はサイト全体の流入の1割をコンテンツ型が担っており、またコンテンツ型SEOの集客数の伸びが非常に高い事がわかりました。

今までSEO集客の根幹であったDB型SEO(構造化SEO)の集客の伸びが鈍化している中、コンテンツ手法を用いる事で、Webサイト全体の集客数の伸びを復活→再加速させている事もわかりました。

このように、外から見ただけでは見えてこない戦術を競合分析を通して発見し、自社のSEO方針のヒントとして活用する事ができるでしょう。

SNSでの競合分析例

TwitterやInstagram、YouTubeなどSNSでも競合分析を通す事で、自社のアカウント方針のヒントを発見する事ができます。

例えば、Twitterアカウントを新規開設し、新規顧客層と接点増加を図る場合、同じテーマで先行しているアカウントを探します。

競合としてベンチマークするアカウントを見てみると、多くのフォロワーを獲得し、各ツイートには多くのいいねやRTが付いている事から、アカウントの情報発信に対して共感や賛同を示すファンが付いているアカウントである事がわかります。

自社もこのような多数のフォロワーと共感・賛同を得られるツイートコンテンツ、ひいてはファンを獲得できるアカウントを構築しようとした際、ベンチマークするアカウントの過去の経緯を分析してみます。

上の図はあるTwitterアカウントの直近1年間のツイート投稿数と投稿時間です。

ベンチマークTwitterアカウントは1にち10ツイート前後を投稿しており、平日の21時~23時に集中的に投稿している事がわかりました。

各ツイートコンテンツの平均いいね数は20前後獲得している事もわかりました。

いいねやRTなどエンゲージメント数が多い、反響の高いツイートコンテンツを分析していくと、一定のパターンが見えてきました。

この方のアカウントでは、「今から使えるノウハウ」ツイートと、「ちょっとマニアックな内容なので、画像でわかりやすく補足している」ツイートの2パターンが反響を多く得られている事がわかりました。

ベンチマークTwitterアカウントの過去の経緯を調査する事で、基準が見えてきました。

今回のケースでは、ベンチマークアカウントと近いポジショニングを獲得する為には、1日10ツイートし、平均いいね数は20を目指し、コンテンツはノウハウ系で画像補足を入れる、という基準が定まりました

競合分析=基準作り

この「基準が分かる(定まる)」事が競合分析で最も大切な事であり、この基準が明確になる事で、自社が新しい施策に取り組む際、自社の行動や実績が本当に成果が得られる方向に向かっているのか否かを確かめる事ができます。

新しい施策に取り組む際、社内に知見が無い為、どのラインで何をやれば良いのか分からず施策を実施してしまうケースがあります。

Twitterマーケティングでも、ベンチマークしているアカウントのツイート数やエンゲージメント獲得数、ツイートコンテンツ内容を知らずに進めてしまうと、自分の行動と照らし合わせる基準が無い為、必要な行動量や質が担保出来ていないにもかかわらず効果が無いと施策自体をやめてしまうケースが散見されます。

社内に知見が無く、始めて行う施策であるほど、自社が行っている施策の量や質が高いのか低いのかの基準を得るためにも、その領域で一定の成果を出している先行者の分析を行うのが望ましいでしょう。

計画しすぎに注意!

では、入念な下調べと計画立てに注力すれば良いのかと言うと、そういう訳でもありません。

PDCAサイクルでPにあたる計画ばかりに時間をかけていても、ビジネス成果は一向に上がりません。

また、計画に反して実施したら全然違う結果に至ったというケースは珍しく有りません。方向性を定めるためにPlanは重要ですが、Doである実行を行わない限り成果は一向にして生まれません。また、ユーザーの動向も早く変化し、予想する事が極めて困難な現在、Planで計画した事がそのまま現実になる事もほとんど無いと言えます。

Planで大枠の方向性と基準を作りつつ、Doを通して市場に出して反応を見る。その上で高速に改善していく流れが、今のWebマーケティングで成果を出すには最も適しているサイクルと言えるでしょう。

Do(実践)とAction(改善)を繰り返す事で、施策精度も高まることながら、その過程で得た経験値が高まり「経験効果」を享受できます。

例えば、Do→Actionを繰り返す中で構築できたライターと編集員のワークフローや、Twitterアカウント運用者がツイートの「コツ」を体得し、エンゲージメント獲得率を高め維持したりする事ができる、等が挙げられます。

方向性をPlanで指し示し、実践と改善を繰り返す事で、他社には真似されない唯一無二のポジショニングを獲得し、マーケティングにおける企業競争力を付けていくことでその優位性を担保する事ができるでしょう。

競合分析は大切ですが、実践と改善を通して始めて意味のある物になるため、調査と実践のバランスは間違えないように気をつけます。

マーケティング分析は楽しいもので、分析している当の本人も仕事をした気になってしまいがちです。しかし、マーケティングを含めてすべての業務は「ビジネス成果を最大化する」事にその意義があります。

調査はとても重要な業務の一つですが、成果を出すのは実践でしか無いため、その点は留意しておきたい所です。